帰路

作品サイズ タテ30xヨコ30cm ステッチ数:310540st 色数:43色 写真:樋口裕子

帰宅時の大阪駅で撮影された夕方の景色をフォト刺繍にしてみました。
この作品のテーマは「糸を如何にして強く光らせるのか」です。

これまで強く光っている部分は無条件に白の糸を使用していました。過去に私が作った作品には夕景が多くあります。それらの作品に登場する太陽の中心部分は白い糸で刺繍されています。
しかし、私がイメージしたように表現できたのかというと、必ずしもそうではありませんでした。作品によってはわざとステッチを増やし、重ね縫いをして明るさを表現した作品もあります。もちろん、重ね縫いをするとその部分は強調されるので、強く光っているような演出が可能です。

重ね縫いはある意味とても便利なのですが、私としては意識的にある部分だけステッチを追加することは可能であれば避けたいと考えています。やはり自然な色の映り変わりを大切にしたいですし、太陽の中心部のように、真円のように見えているような部分であれば強調しても問題ないかも知れませんが、本作品のように空の部分全体が白く光っている場合は強調させることが不自然な表現に繋がる可能性もあります。

意識的な加工をせず、糸の組み合わせだけで今回のような表現ができることが分かったことは私にとっては大きな収穫です。
糸の色には限りがありますが、これからも様々な糸の組み合わせに挑戦し、表現していこうと思います。

ギャラリーアーカイブ