夕日に照らされるさくらであい館
サイズ 横1067 縦930
色数 46色
ステッチ数 2,538,268ステッチ
撮影 樋口 裕子
風景の中にある「光を糸で表現する」。
私のフォト刺繍の制作テーマですが、今回はサイズたて、よこ1メートル近くある大作になりました。
生地は1つ前の作品「高速道路からみる富士山」と同じアーバンツイル。伸縮性の高い生地なのですが、何となく刺繍がきれいに見えるように感じて今回も採用しました。フォト刺繍は生地を糸で敷き詰めていくので縮みが発生します。しかもたてよこ1m近いエリアの中全部を刺繍するので一般的な刺繍と同様な不織布の敷き方をすると、刺繍が歪んでしまう場合があります。
これを補正するために今回はアップリケシートという剛性の強いシートをアーバンツイルと不織布の間に入れて刺繍しました。これでたてよこの歪みは解消できると予想して、いきなり本番で試すことにしました。
良い感じに完成した・・・とお伝えしたかったのですが、生地の縮みを防ぎたいためにアップリケシートを使ったことが逆に少し残念な結果を導き出しました。確かに、生地の縮みは抑えられました。たた、刺繍することによって生地の内側にかかる力を逃すことができず、生地を止めていたクリップを外すと波打ったような状態になってしまったのです。
また、この作品は建物、山が黒系統の糸で刺繍されます。私は刺繍の歪みを補正するため、生地に白の糸で格子状にステッチをいれています。この作業をすることでいきなり刺繍することで起こる生地の縮みを防いでいます。いわゆる、下縫いの応用です。しかし、下縫いが白で、上に刺繍する糸が黒。実はこれは刺繍では推奨できる色の組み合わせではありません。
なので、この作品の建物部分は黒いステッチの中に規則性のある白の点が見える部分があります。ごま塩みたいに見えてしまい、見栄えが良くありません。
実は大型のフォト刺繍を安定して刺繍するためには様々な課題があります。しかし、こうした課題をどうやって解決するのかもフォト刺繍を作る醍醐味のひとつです。完璧な作品を作りたいと思いながらその為に何かに挑戦しなければならないのは大いなる矛盾でもあるのですが、こうした挑戦が思いがけない傑作との出会いに繋がります。次こそはと思いながら次の作品にも挑戦していこうと思います。