１国道から

フォト刺繍作品　夕焼け１０景　第１作『１国道から』
色数：50色　サイズ：横583×縦437㎜ ステッチ数：855779針 写真提供：樋口裕子
今年8作目のフォト刺繍作品、『１国道から』が完成しました。今作は久しぶりに５０色ある全てのセグメントのステッチ編集を行いました。編集といっても不要なステッチの削除が主な作業になりますが、ではどの部分が不要なのか。一応私は不要なステッチを定義づけています。まず、直線的なステッチは削除します。様々な糸が混ざり合って模様が作られていきますが、直線的なステッチの大部分は不要だと考えています。次にはみ出た単線のステッチも削除します。ただ、この部分は何でもかんでも削除するのではなく、全体のバランスを考慮して削除します。このようなステッチは近くで見ると無駄なステッチのように見えるのですが、１～２ｍ離れてみると、周囲の色と混ざって色合いに深みを持たせてくれます。今回の作品だと右上の四角の部分（ドライブレコーダー）などは濃い色の線が入っています。近くで見るとこうしたステッチは無駄み見えるのですが、今回は削除せずに残しました。
技術的な処理は私の作品にとって重要ではありますが、難しいのは糸の選択です。糸の組み合わせははっきり言って至難の業です。ただ、自分では「こうすれば上手くいく」という漠然とした手応えみたいなのはあります。ただ、それを口頭や文章にまとめることは今の私にはできません。理屈通りにやれば上手くいくとも限りません。ですからデータを作成した時に一度全色の糸をセッティングしますが、実際の作業に入ったら、一色、一色確認し、イメージと違ったらそこからもう一度糸を選び直す作業をしています。とても手間と時間のかかる作業ですが、この作業は作品のクォリティを高くするために必要な作業でもあります。