僕はこのホームページに現在は掲載していない作品も含めるとかなりの数のフォト刺繍作品を作ってきました。
始めた頃から一貫して解決しない問題として、「糸の色をどのように選べばいいのか」というのがあります。
元々刺しゅうPROでもDG 16でもフォト刺繍のデータに変換する時は、各々のソフトに登録している糸リスト(または糸チャート)から最適な色を選択しています。それぞれの色に合う糸を当てはめれば、自動的に最適な色と糸が選択されることになるので、誰でも簡単に綺麗なフォト刺繍を作ることが可能になります。
ところが実際に僕が経験したことは画面上でどんなに綺麗にできていても、刺繍になったら全く駄目だったのです。
本当にショックで仕方なく自分で糸を選び直して作り直しました。僕が糸を自分で選ぶようになったのはこの体験がきっかけです。
当時はフォト刺繍の技術とノウハウをお客様と共有できればお客様がフォト刺繍を使って新しい仕事を生み出せるかも知れないと考えながら試行錯誤していたので、上手くいかなかった事がとても残念でした。
現在に至ってもデータ上の色と糸との間にある違いを技術的に埋めることはできていません。
このことが何を表しているのかというと、同じ画像を用いてフォト刺繍を作った場合、作者によって使用する糸に差異が出ることを表しています。
デジタルデータとして精度の高いものが作れるようになったのですが、それをリアルの糸で表現するとなかなか上手くいかない。全く駄目かと思ったら、びっくりするくらい精度の高いものもできてしまう。
そんな不安定なところに僕はフォト刺繍を作る楽しさを感じているんだと思います。