『没後70年吉田博展』を見てフォト刺繍について考えてみる

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没後70年 吉田博展の詳細はこちらから

吉田博さんという画家をご存知でしょうか。
明治、大正、昭和の初期に活躍され、日本だけに止まらず、海外でも高く評価された方です。

40代後半に入ってから木版画の制作に力を注ぎ、今回の『没後70年 吉田博展』ではその木版画の作品が一挙公開されています。
現在は東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)で作品を見ることができます。(3月28日 日曜日まで)

私が吉田博さんを知ったのはフォト刺繍を始めてしばらく経った頃で、テレビの画面を通しても色合いの繊細さ、透明感に、「版画でこんな表現ができるのか」と驚嘆しました。

以来、フォト刺繍でも吉田博さんのような雰囲気の作品は作れないだろうかと考えながら糸選びに勤しんできましたが、下手くそな自分の実力に、ただ項垂れるしかありません。

そんな私ではありますが、今回『没後70年 吉田博展』を通じて新しい発見をしました。
木版画の作られる過程がフォト刺繍に似ていると思ったのです。

木版画は最初に絵を書くのですが、これはフォト刺繍では写真になります。
木版を作るのはフォト刺繍でいうところのデータ作成。
紙に色を擦るのは糸を選んで刺繍機で刺繍するのと似ています。

吉田博さんの版画は微妙な表現をするために何十回も紙に擦る作業を行うそうです。色のイメージを考える過程はフォト刺繍の糸選びにも通ずるところがあるように感じました。

私はこれまで風景を題材としてフォト刺繍の作品を作ってきましたが、データや刺繍機を使うし、やり方によっては量産することも不可能ではないことから、作品の芸術的価値について自信を持てませんでした。
しかし、木版画も型を用いて作られるし、元々版画は量産されていたのだからフォト刺繍と基本的なところは同じです。

版画にもいわゆる仕事向けの版画と、吉田博さんが作るような芸術作品としての版画があるのだから、機械刺繍でフォト刺繍にも芸術的な面があっても良い。そう思うようになったのです。

フォト刺繍が芸術として多くの人に認められるかどうかは私にはわかりません。
それでも、多くの人に感動してもらえる作品を作ることで、フォト刺繍のこと、機械刺繍のことを知ってもらいたい。そのように考えられるようになりました。

『没後70年 吉田博展』を見て少し経って振り返った今の私の感想と、気付きです。


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